AIの進歩による技術的失業で未来はハッピー?ディストピア?

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AI(人工知能)が進化した末には人間は働かなくて良くなるのでしょうか?「価値観を変えるシゲキメディア Catalyst」主催の少人数イベントに参加してきました。


◆ ◆ ◆
以前にもロボットとベーシックインカムがテーマのイベントに参加するなど、技術に進歩による労働の変化について興味関心が強いしゅうまいです。

▼過去のイベントレポート&記事
ロボットやAIで人間は働かなくて良くなるの?ベーシックインカムを考えてみる
新しく予測された「日本で10年後になくなる可能性が高い職業」は?

今回は、「技術的失業」がご専門の井上智洋先生のお話をうかがえるということで、先着15名の少数枠にダッシュで申込みしました。
井上先生とは、実は前述のロボットやAIでベーシックインカムを考えるイベントの時にも来場されていて少しお話ししたことがあり、めっちゃお話聞きたい!と思っておりましたので好タイミングでした。

最近、こちらの著書を出されて、新しい帯にはガンホーの孫泰蔵さんのコメントが載っているので、「孫さんの新著だと勘違いして買ってくれる人がいないかなぁ」と冒頭から少し自虐ネタの気さくな語り口で自己紹介がありました。

学生時代に人工知能についても勉強していた経験と、経済学者としての経験から、AIがもたらす未来の経済について語ることができる数少ない識者として引っ張りだこの井上先生です。

オススメの本として日本では2013年発売の(最初は2011年に自費出版されたもの)「機械との競争」を挙げられました。
まさにこの本で、技術の進歩により人間が機械に仕事を奪われるというショッキングな未来予想図が予測されて、当時反響を呼びました。

ここからは私のノートからのまとめです

AIを整理して分けて考えよう


ひとくちにAIと言ってもごっちゃにしてはいけない分類があります。
特化型AI」は、碁だけを解くAlphaGoのように、目的が明確なものです。
汎用AI」は、人間と同様に考えることができる知性です。

汎用AIにも方式が2つあり「全脳アーキテクチャ」は脳のモジュールごとの機能を真似して動かし、それらを統合して一つの脳のように動かすもの。

全脳エミュレーション」は脳の神経系のネットワーク全てをコンピュータ上にコピーして動かすもので、こちらはまだまだ実現は難しいそうです。

なお「全脳アーキテクチャ勉強会」という専門の勉強グループもあるそうです。
「人間のように柔軟汎用な人工知能の実現に興味のある研究者や脳に興味のあるエンジニアなど誰でも参加できます」とあります。

全脳アーキテクチャは2030年頃実現か?とも言われています。

特化型AIから汎用AIへの時代の移り変わりの予測です:
・まず特化型AIの時代が来て「言語の壁」を超えます
・2030年ごろには「第4次産業革命」(全脳アーキテクチャ)が起こるでしょう
・そして汎用AIの時代には「生命の壁」を超えます
・2100年ごろからは全脳エミュレーションができるかも

なお、汎用AIなんてできるわけないじゃないかという、AIブームに冷や水をさすような本も紹介されました。
コンピュータと人間は違う!という本のようです。

技術的失業は確実に起きる


ここからは、気になる人間の仕事の話です。
実は今までも技術的失業というのは歴史上たくさん起きています。

例えば、銀行でATMが普及したので、窓口係の人は減りました。
Amazonのようなオンライン書店の普及で、町の本屋さんが閉店して従業員の職が無くなりました。

これから5年以内に確実に無くなる仕事としては、電気メーターの検針係が挙げられます。
電気のメーターはスマートメーターに置き換わることが決まっているので、こちらの仕事をしている知り合いの方は将来クビになることが決まっているそうです。(うわぁ…)

過去の歴史をふり返っても「ラッダイト運動」というのがあり、産業革命で機械に仕事を奪われた人間が工場を打ち壊すというムーブメントがありました。

無くなる仕事はどういう仕事?


仕事の種類を「肉体労働」「事務労働」「頭脳労働」に分けた場合、無くなりやすいのは「事務労働」です。
事務労働で失業した人は、頭脳労働に移行できれば良いですが、肉体労働の場合は賃金が低下する可能性が大きいです。ただし、肉体労働でもホテルマンなどホスピタリティが必要なものは残ります。

具体的な職種としては、有名なオックスフォード大学のフレイ&オズボーンによる「雇用の未来」で挙げられているものが参考になります。

汎用AIが出現したら?


特化型AI+特化型ロボットは、トレーダーなど特定の職業を不要にしてしまう可能性があります。
更に、汎用AI+汎用ロボットが実現されたら?

なんでもできる機械が人間の労働を奪ったら、労働移動しようにも移動先が無い状態になります。
全員失業!

それって人間が労働から解放されたということになるのでしょうか?

でも、工場やロボットを保有している「資本家」と、機械ができないことをする「労働者」に人間が二分されてしまいそうです。

そのための解決策は以下のようなものが考えられます。
1)生産手段の国有化(ソ連型社会主義)
2)株式の再分配(非ソ連型の社会主義)
3)所得の再配分(ベーシックインカム)

ベーシックインカムは、どんな収入の人にも最低限の生活に足る費用を一律給付する仕組みです。
いわば「子ども手当」プラス「大人手当て」で、1人にあたり同額が無条件に配られます。

(ベーシックインカムについては、先日スイスで国民投票があったり、フィンランドで実験が始まるアナウンスがされたりと最近ホットな方式で、私も以前にイベントレポを書いています)
ロボットやAIで人間は働かなくて良くなるの?ベーシックインカムを考えてみる

実は井上先生に話を聞きたいという人には証券会社の人もいるそうです。
もう将来のお金の流れについて考え始めたいのでしょうね。
AIを活用して無尽蔵にお金を生み出せる一部の企業に投資をして株式を持っておいた方が良いと考える人もいるのだとか。
また、AIの支配で食い詰めた労働者が反乱を起こしたら社会が不安定になるとという心配もあります。
フランス革命の本を読んで復習?予習?している人もいるのだとか。

井上先生の考えでは
・AIで人間が二分されたらディストピア
・ベーシックインカムのようにみんながそこそこの暮らしが保証される世の中になればユートピア
だと考えられるそうです。

質疑応答から


質問:先ほどの無くなる職業欄に「漁師」があったが漁師が自動化されたら食べ物が安くなるのでは?

井上:資源の価格はゼロにはならないので漁をするための燃料代などはかかる。魚ではない食料を工場で作れるようにはなるでしょう。ただ、工場の土地代はどうなる?土地は作れない。結局、商品の値段はゼロにはできないかもしれません。

質問:仕事がなくなる社会はどうなりますか

井上:資本主義が死んで次に2.0があるか?何が売れる商品であるかを考えるのは人間。AIは機能を真似しているだけなので。全ての人間がクリエイティブクラスになる?例えばLINEスタンプを作ってそれだけで暮らしていける人は一握りだけど、楽しんで採算度外視で趣味として作っている人もいますよね。

トークセッションから


後半はCatalyst監修役の渡辺健太郎さん(写真左)とのトークセッションでした。

渡辺:資本主義が終わるのはよいこと。次に行けるか?発展的に終わるのだったら良い

井上:人間の承認欲求は根強いので、全員が家でゴロゴロしているだけの社会にはならないのでは。
特に若い人はすぐ適応しそう。年配の人は自分の価値観を変えるのが難しいかも。心の準備が必要。

渡辺:若い人は将来のための準備を「しまくっている」印象。けれども日本人の生産性は低い。これなんでだろう。コンビニは24時間低価格でサービスを提供、ブラック労働が前提になってしまっている。ホワイトカラーも生産性が低い。

井上:ホワイトカラーの仕事は情報の制御だからAIが得意な分野でうかうかしていられない。年々、新しい商品が生まれて普及するまでの時間も短くなっているし。

渡辺:シンギュラリティという単語が広まったりAlphaGoのこともテレビくらいしか見ない人でも知っているようになっている。

井上:松尾先生の本でも予測より現実の方が早く進んでいると。加速している。
1Hという単位があって「1 Human」という人間一人分のことができる単位。2045年には70億人分の(70億H)のコンピューターができると予測されており、1Hだったらそれより前に実現できるはず。

渡辺:1H→70億Hは時間かからなさそう。今のiPhoneは20-30年前のスーパーコンピュータ程度の能力がある。
脳の血流などで人間が何を考えているかが分かる脳スキャンが可能になるらしい。もう言葉というインターフェースが要らなくなるのかも。

井上:若返りの薬というのがラットではできているので人間用もあるかも。

渡辺:人間の見た目年齢は若くなっている。美魔女とか。外見が若い人は内臓も若いらしい。医療用大麻のオイルでがんが治るパターンもありどれが利くのか研究が進んでいる。

井上:日本ではタブー視されすぎですね。

渡辺:インターネットもヒッピー文化から生まれたし…

井上:でも、インターネットで人類が幸せになったのかは、Facebookを見ると幸福度が下がるという調査結果もありますね。

感想


先の先のことを考えている方のお話って楽しくてわくわくしますね。
私も結構、勝手に未来想像をしてニヤニヤするタイプです。学術的根拠も何も無いですが。

井上先生も渡辺さんも、基本的に未来は明るいと考えていて、これってAIやロボット生産工場を押さえた支配的な立場の人間が出て来ても、人間の良心を忘れないだろうという楽観視が含まれているのかなと思います。

たぶん、良心を忘れた場合は、大量の労働者に打ち壊される立場になるのでしょうけど。

また、AIなどにより全てが自動化されても、無限増殖無限生産できることと、物理的な制約でできないことがあるのだと、頭の中で整理できそうなヒントがあったのが良かったです。
例えば、土地や資源は増やせないですから、効率的に使うとしても限度があるのかなと。

それと、言語が要らずに意思疎通できる可能性は、本当に早く来て欲しいです。英語勉強したくない!(笑)

人間が別にあくせく働かなくても済む社会は早く来て欲しいですね。

より理解を深めるために


Catalystでの井上先生&渡辺さんの対談3回シリーズはこちらです
人工知能が人間の雇用を奪い始めるまで「あと14年」(初回) | Catalyst
ロボットか人間か、あなたはどちらを雇いますか? | Catalyst
少子化は問題ではないーロボット革命で教育も変わる | Catalyst

井上先生の書籍

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この記事を書いたのは

しゅうまい(@shumai)です。 新しいこと楽しいこと不思議なこと、わくわくすることが大好きです。MacBook Pro 15inchとiPhone 7 Plusの大画面コンビでブログを更新しています。→ 詳しいプロフィール

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