インターネットのホームページに個別の番号をつけるサービスがあったのをご存じですか

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ほぼ消え去ったインターネットサービスを振り返ってみようかなと思います。ネットって調べられるのは新しいことだけで、こういうインターネット普及初期の話は自力で探し出すのが困難なので、ある程度需要はあるかなと思いまして。反響があればシリーズ化します。

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いつの時代のことか


私が当時「Hatch」としてサービス提供されていたインターネットナンバーについて知ったのは何がきっかけであったのか、もう思い出すことができません。
しかし、私も当時はそのシステムに登録して、自分のインターネット番号を持っていました。
おそらく1994年〜1997年くらいの間のことだと思います。

私はCGIが動く無料のレンタルサーバーを借りて、そこに個人ホームページ「しゅうまい」を開設していました。
そうですよ、初めからしゅうまいですよ。
当時は女性のホームページはまだ珍しかったので、雑誌などに載ったりしたのを覚えています。

もちろん、HTMLを直接エディタで書いていました。
ネットでの自己表現は今よりずっと敷居が高かったのです。
数字が回るアクセスカウンターを付けているだけで、鼻高々です。

それは電話番号の発想


インターネットナンバーHatchの仕組みは、覚えにくいURLを簡単にユーザーからアクセスしてもらえるように、各ホームページに固有の番号を割り当て、Hatchにその番号を入力するだけで、お目当てのホームページにアクセスできるようにするというものです。

例えば 12 → テレビ東京 www.tv-tokyo.co.jp のような感じです。

前提として、当時はURLという文字列は一般人には訳の分からない、覚えにくい文字列であったということです。
現代人は 企業名+.jp のようなURLを暗記することは容易ですが、そもそも当時汎用jpドメインはありませんでしたので、.or.jp なのか .co.jp なのか .com なのか、よく混同するし、そもそも英語の文字列を覚えるということにまだ馴染みがなかったことと思います。

そして、日本人は電話番号などのゴロ合わせが得意ですので、数字なら覚えてもらえるのではないか。
そんなところに目を付けたのがHatchでした。

Hatchのビジネスモデル


インターネット番号は、当然ですが短いほど覚えやすいです。
そのため、短い桁の番号は、登録料だったか利用料だかが非常に高額に設定されていました。
それなりの規模の企業でないと払えないくらいだったと思います。

そして、8桁くらいまで来ると、モニター料金のような感じで無料となっていました。
私がもらったのは、到底使いようのない、電話番号のように長い数字でした。
アクセスするのは自分だけ。

ちなみに、現在も細々と存続しているページによると料金は以下の通りですが、現在も登録している企業は数少なさそうな感じです。デタラメ打ちしてもどこにもヒットしません。
※あとで実在する番号も探り当てました。

桁数 登録料金 ナンバー名称
2桁 3,150,000円(税込)
3桁 1,260,000円(税込)
4桁 378,000円(税込)
5桁 252,000円(税込)
6桁 252,000円(税込)
7桁 [非売品] ZIPLINK
8桁 [応相談] メディアミックスナンバー
9桁 [応相談]
10桁 63,000円(税込) TELLINK by フリーダイヤル
10桁 12,600円(税込) TELLINK
11桁 12,600円(税込)
料金表/インターネットナンバー より
【追記】ついに「888.jp」はサイト消失になりました。全てが終わった…。

一時の勢いはあったHatch


当時メーカー製のパソコンを購入された方は、Hatchのダイアラーみたいなソフトがプリインストールされていたのを覚えている方もいると思います。
Hatchは売り込みどころを分かっていたと見えて、パソコン各社に自社ソフトをインストールしてもらっていました。
そのソフトにインターネットナンバーを入力すると、目標のホームページが表示されるというものです。
「パソコン初心者にはインターネットナンバーですよ」みたいな営業がなされていたのではないでしょうか。

少なくとも富士通のパソコンに入れられていた期間があるようです。

ホームページの場所(URLアドレス)の代わりに、インターネットナンバー(ホームページの場所を数字で表したもの)を入力するだけで、ホームページを簡単に表示するためのツールです。インターネットナンバーは、インターネット関連の雑誌や、インターネットナンバー「104」の検索ページで案内しています。
Hatch Inside – AzbyClub サポート : 富士通

この、Hatch Inside は hatch inn と名前を変えた後に、「JWordプラグイン」に統合されるようになったようです。
単体ソフトから、最終的にはブラウザの拡張に組み込まれるようになったのですね。

Hatchの行く末


平成15年(2003年)のプレスリリースにはインターネットナンバーはパソコンだけでなく、各社携帯電話(i-modeやEZWeb、ボーダフォンライブ!)にも対応されてた旨が書かれています。
1100の企業・団体・個人が利用したとあります。

インターネットナンバー社は、ブラウザの入力域に英数字の長いURL(ホームページアドレス)入力をせずに『数字』で様々なホームページへ簡単にアクセスできるシステム「インターネットナンバー」を提供しております。インターネットナンバーは既に1100の企業・団体・個人様によって取得・活用されており、パソコンを始め、i-mode、EZweb、ボーダフォンライブ!(J-SKY)等インターネット対応携帯電話や、Lモードにも対応しています。また、『au』、『TU-KA』及び『ボーダフォン(J-フォン)』の公式サイト全てにインターネットナンバーが付番されており、1000万のメディア利用番号が16社54誌でご利用いただいている実績があります。
インターネットナンバー株式会社のGMOグループ参加に関するお知らせ – GMOインターネット株式会社

しかし、このお知らせにあるとおり、GMOグループの会社となり、「インターネットナンバーサービスのさらなる普及と GMO グループが提供するサービスの拡充を目的としたもの」の目的がその後果たせたのかは疑問です。

現在も使われている番号


現在も使われている番号としては「81」を探り当てました。
こちらのページです。
:ドリームバンク:インターネットナンバー81

「当社は長崎地区81*095および81*0957を担当する代理店です。」とあるとおり、81は日本の国際電話の番号で、その後に続く095などは長崎の電話番号なのでしょう。
その下に続く電話番号のための代理店。
果たして儲かったのでしょうか?

そして、10や12などテレビ局と契約していたと思われる番号は空席のままです。
サービスイン当初は大企業も契約していたインターネットナンバーですが、その後の契約更新は長くは続かなかったようです。
もはや現在殆ど使われていないサービスといっても良いでしょう。

まとめ

  • インターネット普及の最初の頃には、ホームページを簡単な番号で表現するニーズがあった。
  • 携帯電話でのネット接続時代にも、短い番号でホームページにアクセスできるニーズがあった。
  • 検索キーワードを入力するのが当たり前になった現在では、その仕組みは不要となった。

こうして見ると「検索エンジン」が生活に溶け込んだことが分かりますね。

これは、更にその後の話です。(しかし、もはや6年近く前とは)

この記事を書いたのは

しゅうまい(@shumai)です。 新しいこと楽しいこと不思議なこと、わくわくすることが大好きです。iPad Pro+Apple Pencilでの手書きメモがお気に入り。→ 詳しいプロフィール

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コメント

  1. […] ( via Olein | 岐阜県岐阜市のデザイン屋ブログ ) ◆ インターネットのホームページに個別の番号をつけるサービスがあった…( via しゅうまいの256倍ブログ neophilia++ ) ◆ […]