ザ!世界仰天ニュースの相貌失認回に取材協力&番組に入らなかった対処法・ツール

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4月23日放送の「ザ!世界仰天ニュース」の「人の顔が分からない不思議スペシャル」に相貌失認の当事者として協力させていただきました。番組の簡単な要約と、載らなかったデジタルツールについて書きます。

相貌失認とは


相貌失認とは、2013年にブラッド・ピットが告白して一躍有名となった人の顔が覚えにくい症状のことです。
鏡に映った自分の顔すら分からない重度から、特徴を暗記して頑張れば覚えられる比較的軽度のものまで症状の強弱には幅があります。
また、生まれつきの先天性の場合と、交通事故などで脳にダメージを受けて発症する後天性の場合があります。

番組に協力した理由


相貌失認の有病率は2%程度と、50人に1人は人の顔を覚えるのが苦手な、かなりよくある症状です。
しかしながら、自分の苦手や努力不足であると、人に頼らずに我慢したり自分を責めてしまいがちです。

人間関係にダイレクトに影響がある症状のため、本来は明るい性格なのに話しかける相手を間違えることをおそれて、人に気軽に話しかけられないように育ってしまう場合もあるかと思います。
そのため、テレビというマスメディアで詳しく取り上げられることで、特にお子さんや社会に出る前の若い方に症状を理解していただくことができるのではないかと考えました。

色の見分けがつきにくい人がいることは知られていても、顔の見分けが難しい人がいることはそこまで知られていません。
どちらも脳がそういうタイプであるということは共通なのですが、顔は努力すれば覚えられるということになってしまっていたりします。

ある程度は工夫でカバーできますが、薬や治療で治るようなものではないので一生のお付き合いです。
後で書きますが、周りの人の理解と、スマホ等の顔認識テクノロジーの2本柱が解決策です。

番組の要点まとめ


<再現VTRのポイント>
・仕事のシーンで顔を覚えられずに再度名刺交換をしそうになる。3回目も。
・小学生のスイミングスクールで体操している間に自分のコーチが分からなくなる(水着が同じだから)
・クラスメイトの名前を引き出すのに髪型や声をヒントとしている
・学校のテストなど学力には問題なしで異変は分からず
・社会人になると困ることに
・覚えにくいのは美形の人。美人はひとまとめにされる。
・対処法はホクロやメガネなどの特徴を克明にメモ
・自動カメラで顔を撮影(これはNarrative Clipというものです。正確には守秘義務のある仕事には使わずプライベートでしか使っていません。また現在はOrCam MyMeという新製品カメラの到着待ちです。後述)
・妹と久しぶりにあったら化粧などで雰囲気が違っていてすぐに分からなかった
・悩んでインターネットで症状を検索したら相貌失認というキーワードを発見した

実物よりも超美人さんに再現していただき嬉しかったです。

<脳の働きについて解説>
人間の脳には人の顔を瞬時に認識する機能がある。
そして、脳の引き出しに顔の情報をしまっていき、思い出す時には上手に取りだしている。
相貌失認の場合、引き出しの数が少なすぎて、例えば美人フォルダに何人もいっぺんに入ってしまう。

例えるならば、野球好きは打撃フォームを見ただけで選手の名前が分かるが、普通の人には同じような野球のユニフォームを着た選手に見えてすぐには分からない。

<顔を見分けるテストの様子>
顔テスト。同じ人がどれか当てるテストを受診。(おそらく普通の人にはすぐに分かるもの)
同じ人がいると言われなかったら全員関係無い人だと思った。

<程度には差がある>
重いケースでは、突然予定外に話しかけられたら母親も分からない。
写真の中の自分の顔が分からない人もいる。

<専門家コメント>
20年以上の研究を続けている福井県の敦賀温泉病院 玉井院長先生
玉井先生 薬は無いので、周りの人が知るということが最も良い治療法です。

相貌失認コーナーはここで終わり。
他に読み書き障害を持ちながら競技かるたで活躍した少年の話や、アスペルガー症候群で苦労された母親とその娘さんのストーリーがありました。
全体として脳のはたらきと人生のハンデがテーマでした。

相貌失認の薬は無い=絶望的ではありません


番組を見て薬や治療法が無くてがっかりした方もいると思いますが、そこで終わらないでください。

まずは自分の苦手範囲を把握して、周りの人の理解を求めましょう。
玉井先生ともお話ししたのですが、啓蒙活動が最も重要です。
「この間テレビで見たんだけど知ってる?」のような世間話からで良いと思います。

相貌失認をどうにかするのは「コミュニケーション能力」です。
成長過程で苦手になった人も多いかとは思いますが、そこを何とか振り絞って。

なお、私がこれはお願いしたいという項目は以前にこちらの記事にまとめておりますので、参考に自分流にアレンジしてみてください。
ブログやSNSのプロフィールに「私の取扱説明書」として載せてしまうのも、手間が省けて良いかもしれませんよ。
相貌失認(失顔症)の人がして欲しい配慮ポイントのお願い

また、以前に情報をまとめたNAVERまとめはこちらです。色々な人のエピソードもちょこちょこ拾い集めています。
人の顔が覚えられない「相貌失認」(失顔症)について知ってください – NAVER まとめ

最新の顔認識テクノロジーでカバー!


ドラマとして再現は難しいため番組ではほとんど触れられませんでしたが、今は人間よりもコンピュータの顔認識の方が優秀です!
ツールで楽をして、余裕を作り、気分も明るく!

まず「Googleフォト」を使っていない人は損してます。
こちらはGoogleが基本無料で提供している写真の保存サービスになります。(写真のサイズを圧縮してOKならばずっと無料です)
使い方は検索するとたくさん出てくると思いますので割愛しますが、人物の写真を自動的に認識してフォルダ別にまとめてくれる機能があります。

これがものすごく優秀で、集合写真からでも拾い集めてくれるのです。
イベントなどで大勢の人といっぺんに会った時に混乱すると思うのですが、2回目に会った場合に自分では気づいていなくても同じ人物として認識され、前回は何年何月何日に会ったはずと日付も分かるので、後からでもSNSなどで会話をうまくつなげられます。

なお、Facebookの顔のタグ付けも学習させていくとかなり良い感じですが、風邪で休んだはずなのに飲み会に行ったのが同僚にバレるなどの理由でタグ付けを嫌いな人もいるため、プライベートで管理できるGoogleフォトがおすすめです。

Appleの写真にも同様の顔フォルダ機能はありますが、Googleの方が優秀です。
親戚の子を、赤ちゃんから幼児まで成長で顔が結構変わるはずなのに同一人物処理してくれていて驚きました。

Googleフォトも時々は判断に迷うのか「同一人物ですか?」のように聞いてくることがあるので、「はい」「いいえ」で答えると(自力では難しい場合がありますが…)学習してくれます。

更に顔認識次世代カメラも


番組で少し登場した30秒に1枚写真を撮るライフログカメラ「Narrative Clip」は製造元が倒産してしまいましたので現在は使っていません。
しかし、私が到着を心待ちにしているカメラがあります。

OrCam MyMeという、顔認識をしてくれてスマホで情報を管理してくれるものです。
スマートウォッチに人の顔と名前を表示もできるみたいで、本当にうまく動くのなら、とても助かりそうです。

仕組みとしては人の顔の特徴データのみを記録して写真を残すわけではないらしく、変な盗撮とかには使えない安心感があります。
(Narrative Clipは正面に身だしなみ用の鏡があるトイレに入ると自分の用足しタイムが写ってしまうという致命的弱点がありました…。その場合はポケットにしまうのですが、付け直すのを忘れることがありました。)

▼OrCam MyMeの動画イメージはこちらで再生

人物をグループ分けしておくと、最近家族との時間が少ないです、みたいなことも分かる、ライフロガーや分析好きにも楽しめそうなガジェットです。

▼OrCam MyMe
OrCam MyMe – AI for Humans by OrCam Inc. — Kickstarter
(現在はKickstarterでの募集は終了しています。そのうち399ドルで市販されるはず。私は200ドルで先行者の冒険。)

当初3月発送予定となっていましたが順調に遅れてまだ発送されていません。平成のうちに届かない気がします。

あと、こういうガジェット類は初号機はバッテリーの持ちが悪かったりしますので、完全に人柱を覚悟して申し込んでいます。

イメージ動画は技術者の頭の中にある理想像であることが多く実用面では過剰な期待は禁物ですが、個人的に顔認識力などに興味がありまして、届いたらまたブログ記事に書きたいと思います。
相貌失認の人にしか書けないレビューが書けるはずです。

当ブログの関連記事
顔が覚えられない「相貌失認」私のエピソード
相貌失認に関して2年間でいただいたお悩みメッセージと私からの回答

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この記事を書いたのは

しゅうまい(@shumai)です。 新しいこと楽しいこと不思議なこと、わくわくすることが大好きです。iPad Pro+Apple Pencilでの手書きメモがお気に入り。→ 詳しいプロフィール

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