ひろしま神楽の秘密&歴史あれこれアット安芸高田市
神楽の舞台裏も取材してきました。神楽団の皆さんが練習をしているのはどんな場所?大蛇ってどういう仕組みで動かしているのかな?
ひろしま神楽(芸北神楽)のプレスツアーで神楽鑑賞を通じて伝統芸能のステキさを発見したしゅうまいです。
1つ前の記事はこちら:地元愛が支えるクールジャパンエンタメ「ひろしま神楽」の世界
今回は特別に神楽団の皆さんが日々の稽古をされている練舞場に入ることができました!
舞台で圧倒的存在感の大蛇(オロチ)がどういう仕組みで動いているのかも見せていただきました(動画あり)
その前にこちらも見学しました
神楽ドーム
神楽門前湯治村で私たちが鑑賞した場所の「かむくら座」は小劇場で、それとは別に、とっても広い「神楽ドーム」があります。
屋根は東京ドームと同じ材質でできているそうです。なんと最大3千人収容。
4月から11月の観光オンシーズンの神楽は、こんなに広々とした場所で行われます。
(開催時には枡席もある畳の千畳敷になります)
全国の高校生が神楽を競う「神楽甲子園」もこちらで開催がされます。
陰陽神楽街道メロディロード
上を車で通過すると神楽の奏楽のように聞こえる音が出る道路「メロディロード」が美土里町にあります。
元々はスピードの出し過ぎに音で注意をうながす仕組みですが、地元で親しまれている神楽のメロディを取り入れた楽しい道路になっています。
通過音を録音してきました。スマホのレコーダーなのであまり明瞭ではないですが、人間の耳にはもう少しよく聞こえます。行きと帰りでは別の音が鳴るそうです。
設置場所など詳しくは安芸高田市のページに
メロディーロード | 安芸高田市
上河内神楽団の練舞場へ
メロディロードからほど近いところに、上河内(うえごうち)神楽団の練舞場はあります。
安芸高田市の市役所にお勤めをしながら神楽の活動をされている戸田さんにご案内いただきました。
小さな体育館といった感じの練舞場です。立ち位置らしき箇所には床に目印も。
受賞歴もたくさんある神楽団です。
鬼の面は髪の毛が絡まらないように逆さに保管されていました。サラサラ具合はこうやってキープしていたのですね。
鬼の面にも段階があり、人間に近いツノがないものから大きくて立派なものまであります。
面の早変わりで一瞬のうちに変えることもあります。
たくさんある衣装櫃には、豪華な衣装がおさめられています。手作りのため1着作るのに車1台分以上のお金がかかるそうです。
大蛇のしくみを解説していただきました(動画をご覧下さい)
自在に大きくなったり小さくなったりするのはこうやっていたのですね。
ハーネスは自転車のタイヤチューブを使う手作り感ですが、胴体部分は職人さんが和紙を何重にも貼ったもので、舞台にも耐えられる強度になっています。
演舞場では他にも衣装の早変わりの体験もありましたが、カメラが本格的な他のブロガーさんにお任せします…。
▼こちら
ひろしま神楽の舞台裏。「きっと見逃す早着替え!」動画あり | yocco
神楽を支え伝えている神楽団とは
神楽団は、お宮毎にお祭りがあるのでその単位で団ができており、練舞場は神社の隣に位置していました。
見学させていただいた上河内神楽団は団員23名で16歳〜63歳くらいの幅広い年齢層が参加しているそうです。
重たい衣装で体力がいるので若い人が活躍しています。
登場人物以外では奏楽の他にも道具を動かす人なども必要となり、皆で力を合わせています。
演目の内容は神楽団により内容が少し違う物もあります。
それは、神楽が全て口伝で、代々人から伝わっているためです。
奏楽の楽譜も無いので、前述のメロディロードは大学の先生にお願いしてメロディを起こしてもらったそうです。
神楽団は一緒に練習をして、終わった後の飲み食いも一緒にすることが多く、家族のような存在だそうです。
神楽を続けたいので地元に就職することを選ぶ人もいます。
神楽は神事でありこれで食べている人はいなくて、他に仕事を持っている人が多いです。
私たちを案内してくださった戸田さんも安芸高田市の市役所にお勤めで、市内の交通手段に困る高齢者のためのデマンド交通システム「お太助ワゴン」の導入に携わるなど、地元のために力を尽くされています。
また、入団するまでの小学生から中学生の頃にも、子ども神楽の教室があり、保護者から「好きなことを一生懸命に取り組んでいるためか、簡単にあきらめることがなくなりました」という声も聞かれるそうです。
地域の子どもと大人が地元愛で伝えている伝統芸能の形というのは素晴らしいですね。
少子化の流れは例外なく訪れる気配はあるそうですが、地元に核となるものがあるというのは大きいと思います。
存続の危機を乗り越えた神楽の歴史
芸北の神楽は島根県の石見神楽から伝わったと考えられています。
一度神楽全体に大きなピンチがあり、第2次世界大戦後にGHQから皇国史観(万世一系の天皇を崇拝する)の意味合いが強いとされ神楽は全面禁止されてしまいました。
これに対処する形で、美土里町出身の教育者の佐々木順三氏が神話の要素が少ない能や歌舞伎など日本の古典芸能を題材にした新演目を創作しました。当時は神楽という言葉を使わずに「農村舞楽」と呼び、GHQの検閲は解除されました。
(冊子「中国地方の神楽の魅力」より)
戦前から伝わる舞を「旧舞」、新しく創作されたものを「新舞」と区別しています。
長い歴史がありながら、戦後に魅せる舞台として生まれ変わった神楽は、ブラックライトや火薬を使ったものなどもあるそうで、最新の技術も取り入れながら進化しています。
それだからこそ、私のような素人が見ても分かりやすくてとても楽しい舞台になっているのです。
予備知識としてこのあたりを少し知っているだけでも、神楽がグッと深く味わえると思います。
感想
今回のプレスツアーで、表舞台だけではなく演舞場まで見せていただいたのが一番印象に強く残りました。
伝統芸能を絶やさず続けて行くことは大変なことではないかと推察されますが、地元の皆さんで家族同然の付き合いの中で伝承していくというのは理想に最も近いと思います。
本当に「生活に根ざしている」のだな、と感じました。
このような地元の宝は、そこだけのものにしていては勿体ないですから、既に行っている東京公演(今年は1月に開催されました)なども重ねて、地域外にアピールして魅力に気づく人が増えたらなと思います。
あと、これは完全に私の趣味ですが→Pia-no-jaC←(ピアノと打楽器カホンの2人ユニット)が加計高校芸北分校神楽部とコラボしたステージがあったのをYouTubeで見つけました。
かっこいいコラボです!
首都圏からは、こちらの成田→広島空港の飛行機を使ったツアーもあり気軽に行けます
ひろしま安芸高田神楽鑑賞ツアー 神楽門前湯治村宿泊 1泊2日(延泊可能) | 安芸高田市
今後の神楽ドームでの大きな公演はこのようなものもあります
3月29日 神楽グランプリ2014受賞記念特別公演/ひろしま観光ナビ
5月30日 さつき選抜2015 第23回広島県北部神楽競演大会/ひろしま観光ナビ
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春秋航空と神楽門前湯治村についてはまた別途〜
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