どんな未来が?コミュニケーションロボットの未来について聞いてきたよ

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ロボットは将来間違いなく生活に入り込んでくると思います。最先端の研究や製作をしている方の話を聞いてきましたよ。


「IoT×コミュニケーションロボットの未来」は5月28日に天王洲アイルのSamurai Startup Islandで開催されました。

登壇者は
①株式会社ロボットメディア代表取締役の 小林賢一 さん
②karakuri products代表の 松村礼央 さん
③機楽株式会社代表取締役CEOの 石渡昌太 さん
という顔ぶれです。
門外漢の私でもお名前やプロダクト名をどこかで見た記憶があるという感じなので、すごい豪華メンバーのはずです。

Samurai Startup Islandはベンチャーの方々が入居していて若々しい雰囲気のオフィス空間です。
入っているビルの非常階段を歩いて上がるので注意。エレベーターからは行けません。

小林賢一さんの発表から


未来に向けて「ワレラの時代」という言葉を提唱しています。
これは、ワレラ=”人間とロボット”が共に生活する時代のことです。

ロボットは時代とともに進化してきました。
人間の願望を形にしてきたのがロボットです。

1990年代後半からは様々なロボットが登場してきました。
なぜロボットが必要なのでしょうか?
日本では少子高齢化で労働人口が減ってしまいますのでその解決策になるでしょう。

ガートナーのハイプサイクルが毎年発表されますが、その中の黎明期に「スマートロボット」という項目があります。
既に先行するビッグデータ(幻滅期)、IoT、自律走行車(過度な期待のピーク期)の後を追った位置にあります。
参照:ガートナー | プレス・リリース |ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル: 2014年」を発表

シンギュラリティという単語をご存じの方も多いと思います。
2045年には機械が人間より賢くなるとされる特異点のことです。
IoT=ネットにつながる機器は増え続け、2009年には9億台だったのが2020年には300億台にまで増加すると予測されています。

ドイツではインダストリー4.0と呼ばれる第4次産業革命が進められています。
IoTにより接続されて自動化され、国内をひとつの仮想工場に見立てることで、資源の全体最適を実現するというものです。

他にもスマートハウス、ウェアラブルデバイス、3Dプリンターなど世界中で色々な技術が発展中です。
AI(人工知能)については、業界内で盛んに投資や買収が行われています。
日本ではドワンゴやリクルートもAIに注目しています。

「グラン☆ロボティック」〜人と機械と社会との劇的関係性〜
1)ロボティック・ライフスタイル・コミュニケーション
生活に入って来るロボットのコミュニケーションは上質なものであることが求められます
2)ロボティック・ワークスタイル・オペレーション
ロボットとの協業により職場環境や雇用が変容します
3)ロボティック・システム・イノベーション
業務用システムとしてのイノベーションが起きます
4)ロボティック・ミッション・フロンティア
宇宙や海洋、災害、原発といったフロンティアでロボットが活躍します

ロボットの分類は産業用ロボットとサービスロボット(人と接する)の2つに分かれます。
これからはサービスロボットの方が注目されています。
サービスロボットに関しては安全性がとても大事です。物理的安全よりサイバーセキュリティの方。

ロボットの定義ですが、センサー、アクチュエーター、コンピューターの3つを統合し知能化された機械システムのことです。

ロボットの要素
「自ら考え動く」「親和性」「役に立つ」「世界観」「感情」
コミュニケーションロボットには世界観・感情が大事です。
ASIMOはこれらを考えて作られています。Pepperなどもこれからどうなっていくか。

ロボットを暮らしに入れる際に生じる問題点
・安全性 … 物理的危害とか
・プライバシー … 家庭の中で聞いたことを秘密にしてくれるか
・心理・倫理 … 人間がロボットに危害を加えた場合は?
ロボットが生活に入るには「パブリック・アクセプタンス」=周りの人の合意が重要です

小林さんからのお知らせ
日本ロボットビジネス体系講座を開いています。受講者募集中。
・6月17日〜19日にビックサイトで開催されるスマートコミュニティ Japan 2015に出展します

松村礼央さんの発表から


BLE(Bluetooth Low Energy)に見る新しいネットワークロボットビジネス

BLEとはBluetooth4.0から追加された規格で、通信量・レイテンシの抑制で省電力化を実現するものです。
Bluetoothが飛ばすデータがリッチすぎて電力を消費していたのを改めた形です。
iOSとAndroidともに対応しています。

BLEは流行りました。昨年2014年がMaxな気がします。
というのもiOSでライセンスが不要で誰でも使うことができたからであるのと、
規格の思想や発想が時流に向いていたからです。

00年代までのセンサネットワークは、コアプロセッサの周りにあるセンサがリッチで電力をつかいすぎていました。10年経ったらさっぱり流行ってません。

10年代では、コアプロセッサはノートPCからスマートフォンに変わっていました。周りのセンサも省電力になりました。

BLEがつむいだもの
・ナイキのFuelバンドという運動量記録計は充電は1-2日に1回でよいレベルです
・FUN’IKIメガネ メールの着信などをメガネが光ってお知らせします
・Moff 6軸センサ搭載で手を動かすと音が鳴ったり色々遊べるおもちゃです

すべてはAppleの思い通り?
BLEはiPhone4Sから搭載されAppleが推し進めてきました。
おそらく自分たちの周りにセンサーをばらまきたかった?中央のスマホを売るために?
この視点はユビキタスの頃には無かったものです。

ユビキタスの時代に流行ったのはRFIDタグです。SUICAなど。
これらはインフラ(改札機など)さえあれば動くものです。
BLEも技術だけあってもなかなか発展しません。インフラ側も一緒になければ。

IoTやウェアラブル、ロボットサービスはハードウェアからサービスまで一気通貫で考えなくてはなりません。
ハードウェア > エレクトロニクス > ソフトウェア > ネットワーク > サービス
旧来のものづくりは、左側2つだけでした。

コミュニケーションロボットを売るのに大切なこと
なぜ鉄人28号やタチコマのロボットがうまくいったのか?
1.ロボカップでの技術蓄積があった
2.「物語」が事前にある題材だった
3.「ラジコン」というインフラがあった
売れるロボットには、キャラクタビジネスの要素や、新しいインフラの整備が必要です。

▼宇宙ステーションにも行ったロボット「キロボ」
KIBO ROBOT PROJECT

石渡昌太さんの発表から


2013年にRAPIROというロボットのプロジェクトをKickstarterで出資募集して成功しました。
ハードウェアカテゴリでは日本発の成功例です。

Kickstarterに載せるためのプロトタイプは、スケッチから3Dモデリングに起こしたモデルを3Dプリンターでプリントし、仕上げと組み立てを行って作りました。

クラウドファンディングで1,200万円くらいのお金が集まりました。
出資者は日本3割:アメリカ3割:イギリス3割:その他1割という比率でした。

大量生産する時には金型制作にお金がかかります。
サーボモーターは中国の工場で作りました。
商品の梱包は金型工場で一緒に行ってもらいました。
販売はスイッチサイエンスで、あと秋葉原などで店頭販売も行いました。

今はまさにメイカーズムーブメントです。
ハードウェア開発の敷居が下がったと言われています。
ラピッドプロトタイピング、小ロット製造、クラウドファンディングと環境が整っています。
作ることは楽しい!店頭に並んだら嬉しい!と感じてもらえたら。

ただし、作るにフォーカスし過ぎると売れないものができてしまいます。
また、自分だけでやっていてもうまくいかずパートナーシップを組む必要性があります。
熱い思いだけではビジネスはできないのです。
相手も儲かりお金になるということを提案しなくてはなりません。

パートナーと良い関係を作るには、工場・商社がやらないことは全部やる!のが大事です。
工場・商社はやることが特化されてので、こぼれた、みんながやらないことをやるのです。

売れる商品を試作することがとても大事です
相手にイメージを伝えるために必要です。
また動画など魅力的なプロモーションを作りましょう。自分でどういう風に何を撮りたいかも考えます。

プレスリリースでバズを作ることも有効です。
広告・パッケージのデザインや、説明書のテキスト・写真の用意も重要です。
なお、リスティング広告はあまり効果がないと思います。メディアリリースを狙います。
SNSなどでは消費者が欲しいものしかバズらないです。
RAPIROでは3Dデータを公開したら、自分で3Dプリンターで作ってくれた人もいました。

まとめると、売れるロボットを作るには以下の4要素が大事です。
1.売れる商品 2.プロモーション 3.プレスリリースでバズる 4.広告・パッケージのデザイン

▼自分でカスタマイズもできるロボット「ラピロ」
ホーム – ラピロ

※この後パネルディスカッションもありましたが割愛させていただきます。

しゅうまいの感想


Pepperなどの登場でロボットがもう1周して来た感があったので、誰も知っている人がいないイベントに飛び込んでみましたが、聞きに行って良かったです。
やっぱり実際にロボット作りをした経験があったり、ロボットの未来について詳細に考えている人の話を聞くのは、どういうことが実際に起こっているのか知るためにも貴重な機会でした。

私が一番最初にロボットと呼べる物に出会ったのは、小学生時代に買ってもらった「占いロボ ペケマル」という小型ロボットで、柏手を打つと音を認識して、占いたいことがマルかペケかを占ってくれるというものでした。リアクションは4パターンあったようです。

それから30年近くが経ち、今はロビくんのように簡単なおしゃべりができるロボットを普通の家庭で買うことができる時代になりました。

それでも、人間の想像力の方がだいぶ先を行っているので、ドラえもんのような存在が家庭内に入ってくるにはまだ時間がかかりそうです。
それまでに与えられた時間で、ロボットとどのように協業・生活するのかをじっくり考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

この記事を書いたのは

しゅうまい(@shumai)です。 新しいこと楽しいこと不思議なこと、わくわくすることが大好きです。iPad Pro+Apple Pencilでの手書きメモがお気に入り。→ 詳しいプロフィール

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