「メッセージ」原題:Arrival に込められた世界平和 #東京国際映画祭
ビジュアルがお菓子の「ばかうけ」にそっくりと話題の映画「メッセージ」を観てきました。これ真っ黒なのはイカスミ味だからです。
というのは冗談でして、この映画は結構深いテーマが扱われています。
エイリアンが出てくるSF映画としても楽しめますが、終盤は一人の女性の心の物語です。
私は悩める働く女性やママに観て欲しいなと思います。
「メッセージ」はどんな映画
カナダの映画監督ドゥニ・ヴィルヌーヴが、テッド・チャンの小説「あなたの人生の物語」をもとに映画化した作品です。
東京国際映画祭では上映前にヴィルヌーヴ監督からのビデオメッセージが流され、いまは「ブレードランナー」続編の制作で忙しく来日できないのが残念というコメントがありました。
あらすじ
突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。
(公式サイトより)
前半では、突然地球上に現れたエイリアンの目的を理解するために起用された言語学者ルイーズの活躍が描かれます。
未知なるものとの意思疎通に、言葉そのものを研究してきた知恵と経験が生かされます。
また、ある局面では命もかえりみない果敢な勇気を見せ、彼らの目的を理解しようとします。
終盤ではルイーズが手に入れてしまった能力ゆえに、人生をどう生きるか選択をせまられます。
彼女が大切にしたものはーー。
みどころ
地球の12箇所に突如出現した「ばかうけ」型宇宙船をどうするのか。
このあたりシン・ゴジラのような危機管理とか、有能な人を集めてどうにかするあたり、現実にありそうな感じでワクワクします。
異星人ヘプタポッドとの意思疎通を試みる展開も、知恵を絞って、タブレット端末を使いながら翻訳するあたりも現代っぽいです。
ヘプタポッドがあんまり気持ち悪くなくて、会話するシーンも水墨画のようで綺麗です。
ヘプタポッドの目的を世界で最初に分かることができたルイーズは、頭が良くて、勇気もあって、素敵な女性です。
日本の映画で有能な女性が活躍するシーンはなぜか女子高生や若い女性になってしまいがちですが、アラフォーで充分に経験と実績のある女性が活躍する方がリアリティがあると思います。
感想
真っ先に映画「コンタクト」を思い浮かべるような、女性の心の物語でした。
12箇所飛来した飛行物体のうち1つは日本の北海道でしたので、リスペクトの念が込められているのかもしれません。
この映画も主題に触れるとネタバレだらけなので、あまり言えませんが、人間が幸せに生きることとは何であろうかと考えさせられます。
ただ、前半の緻密な描写に比べると終盤は説明があまりないポエムみたいな感じになってしまうので、各自の頭の中で考える必要があります。
すごい分かりやすい映画かというと、そうではなく哲学的な部分もあり、人によっては結末が説明不足で物足りなく感じる人もいるかもしれません。
また、この映画を観てコミュニケーションの大切さに気づく人もいると思います。
相手が何を言っているのか分からなくても、互いに伝えたいことがあれば、粘り強く取り組めば意思疎通は可能であり、先に危険視して攻撃するのは愚かであると。
地球人同士の意思疎通がはかられれば、世界はひとつになり平和が訪れる。
言葉や人種の壁であきらめないで。
そんな願いもこもっているのかなと思いました。
映画「メッセージ」の劇場公開は2017年5月です。
▼映画公式ページ
映画『メッセージ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
▼予告編
原作は映画を観た後で読むのが良いと思います
キャスト&スタッフ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:エリック・ハイセラー
原作:テッド・チャン(「あなたの人生の物語」ハヤカワ文庫刊)
撮影監督:ブラッドフォード・ヤング
プロダクション・デザイン:パトリス・ヴァーメット
音楽:ヨハン・ヨハンソン
キャスト
ルイーズ・バンクス:エイミー・アダムス
イアン・ドネリー:ジェレミー・レナー
ウェバー大佐:フォレスト・ウィテカー
ハルペーン:マイケル・スタールバーグ
東京国際映画祭で観た他の映画
☆「この世界の片隅に」のん(能年玲奈)&片渕監督の舞台挨拶も聞いてきました #東京国際映画祭
☆「聖の青春」松山ケンイチ&東出昌大の渾身の演技と20世紀の空気 #東京国際映画祭