ロボットやAIで人間は働かなくて良くなるの?ベーシックインカムを考えてみる

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技術の進歩で人間の仕事が「奪われる」という調査がありましたよね。でも仕事しなくて良くなったら?誰でも生きていくのに必要なお金をもらえるようになるとしたら?


6月5日、スイスでベーシックインカムに関する国民投票が行われます。署名を集めた市民団体は毎月2,500スイスフラン(約27万円)が大人に(こどもには625スイスフラン)が支給されることを掲げています。
といっても、世論調査では否決の可能性が高いそうですね。

私はベーシックインカムについて学べる機会である6月3日に行われたこちらのシンポジウムに参加しました。
詳細:ロボットテクノロジーの劇的進展と ベーシックインカム 究極の社会保障 on everevo
もともとロボット技術で人間が幸福になることに興味があり、その先にベーシックインカムという単語が浮上するという組み合わせに興味を持ちました。

登壇者はそれぞれロボットとベーシックインカムにお詳しい専門家の組み合わせです
小林 賢一さん(株式会社ロボットメディア 代表取締役 / 認定NPO法人ロボティック普及促進センター 理事長)

山森 亮さん(同志社大学経済学部 教授 / Basic Income Earth Network 理事)

小林 賢一さんの発表から


未来に向けて「ワレラの時代」という言葉を提唱しています。「ワレラ」は「人間とロボット」です。一緒に暮らしていく時代になります。

昔のロボットをご存じですか。
・1928年に作られたエリック
・パリ万博に出展されたセイバーⅣ
・日本で作られた学天則
・大阪万博やつくば万博に出展された企業パビリオンのロボットたち

今ではマツコデラックスにそっくりなマツコロイドというのもありますね。
人間の願望を形にしてきたのがロボットです。

ロボットの分類は産業用ロボットとサービスロボット(ソーシャルロボット)の2つに分けることができます。
工場などで働く産業用ロボットに対してサービスロボットは人と接するので、人や社会との関わりを考えないといけませんが難しいです。

でも既にPepperなどのコミュニケーションロボットがたくさん出て来ています。

研究によると人間はロボットの傷みを理解できるそうです。機械だから実際には痛くないですが、ロボットは社会的な存在になるということです。
(しゅうまい註:実験のためにロボットが転ばされる動画を見てかわいそうと思った方も多いのでは)

ロボットが人間ができることに追いつくには時間がかかります。
乱雑な物を学習してうまくつかめるようになるのに30日かかるなど。
ただ、ニューラルネットワークの技術で加速度的に賢くなる可能性が高いです。

日本や世界の国もAIやロボットに予算を投じる方向性です。
特に中国は1兆6,800億円を投じます(インターネット+AIで)

職場でのAIやロボット導入について、働き方がこれから変わっていくでしょう。
しかし、Sedasysという麻酔ロボットが麻酔科医からの反対で販売を終了したということもありました。

ロボットに仕事を奪われるのは年収が低い人であろうと言われています。
今の学生は38歳までに10〜14の仕事に就くであろうと米国厚生労働省も言っています。

ところで、人間が提供する労働の価値とは何でしょうか?
機械化されないためには
・クリエイティビティ
・マネジメント
・ホスピタリティ
のような付加価値の高い業務に転換していく必要がありそうです。

といっても作曲をしたり画家のような画を描いたりする人工知能も既に発表されています。
創造力もAIが先を行ったらどうなりますか。

山森 亮さんの発表から


質問1:国民全員に月々10万円が支払われるとしたら、人々はどのように行動すると思いますか?何もしなくなりサボっちゃうか、それでも自分ができる価値を提供する人はいますか?

質問2:あなたに月々10万円が支払われるとしたらどう使いますか?暮らしや働き方は変わりますか?

ベーシックインカムとは
・全ての個人に(世帯ではなく個人単位)
・無条件に(稼働能力の有無を問わず)
・普遍的に(所得や資産も関係無く)
・権利的として
・生活に足るだろう所得を
給付するという「考え方」のことです

歴史は220年にもなりますが、本当に実現されたのはゼロ件です(実験を除く)

ずっと、仕事に就けば食べていけるという前提で社会は成り立ってきました。
失業などのセーフティネットには公的扶助があります。
とはいえ、必要な人が全員受け取れているかというとそうではありません。

ベーシックインカムについては財源をどうするの?という疑問が湧くと思いますが、お金が取れたら配ることはできます。もらうのは全員なので。

スイスでは6月5日に国民投票がされます。
10万人以上の署名を集めると国民投票ができるところ13万件集めました。

フィンランド、オランダでは給付実験に向けた動きがあります。
(これを成立のような一部メディアでの誤報がありましたがまだです)

経済学者のケインズは、経済成長や技術革新を予言しました。
また技術革新で余った残りの仕事を分け合って1日3時間労働にすべきと言いましたがこれは現在でも実現できていません。

これは、何がどれだけ労働とみなされるのか、が経済の理屈だけでは決まっていないからです。

「家政婦と結婚するとGDPが減ります」というジョークがあります。
かいがいしく働く家政婦さんに恋をして結婚して奥さんになったら、やっていることが同じでもGDPにカウントされなくなります。

仕事のうち何が労働となり何がunpaid workとなるかは社会的に決まります。
また、労働には社会にとって必要なしごともそうでないものもあります。

私は「5 types of work」という分類を発表しました
・Paid Work(Socially Needed)有償の仕事で社会的に必要
・Paid Work(Socially NOT Needed)有償の仕事で社会的に必要とされていない
・Unpaid Work(Socially Needed)無償の仕事で社会的に必要
・Unpaid Work(Socially NOT Needed)無償の仕事で社会的に必要とされていない
・Socially Needed, but NO ONE does 社会的に必要だが誰もやらない
5番目は日本の保育士が足りないような状況を指します

昔のウーマンリブ・女性解放運動の時のこと
家電の発明で家事が省力化できたら、家庭の女性が労働力になったか?
実態はそうではなく家電が買えない家の人から職に就きました
家事が楽になって家事時間が減ったか?ぜんぜんそうなっていない

未来はマトリックスのような暗い社会になるのかスタートレックのような明るい社会になるのか
選択はわたしたちの手にあります

質疑応答&議論コーナー


参加者から15以上の質問が出されて白熱した会になりました。こういうイベントいいですよね。

私からはベーシックインカムの支給は日本円のような法定通貨だけなのか?Suicaのような電子マネーや他のブロックチェーンのような仕組みで実現される通貨での議論は無いのか?という質問をさせていただきました。

山森さんの回答:
1990年代に盛り上がった地域通貨を結びつけたらどうかというアイデアはある。
また、世界では通貨発行権が中央銀行に独占されている社会を変えたい人たちはいる。

6年くらい前に長野県のある村長さんがベーシックインカムできないかたずねられたことがあるが、地方自治体がするのは難しかった。地域限定プレミアム商品券が活用できないかと考えている人もいる。

暗号通貨のBIについてはケンブリッジ大学の友人がそういうことをやっているらしい。
そういう通貨は流通がどれだけ担保されるかですね。受け取ってくれるところがどれだけあるか?
そこがクリアされたら可能性もあるかも。

という回答をいただきました。

感想


ロボットやAIの技術って、そのものを研究している方もいれば、それにより実現される社会のことを先に考えていく人もいるところが面白いと思います。

ベーシックインカムについては単語は知っていたものの、あまり内容や歴史までは知らなかったので勉強になりました。

それにしても、労働をロボットが全部やってくれるようになったら、人間が苦役としての労働をしなくて良くなるはずですが、どうなるんでしょう。

「5 types of work」のところで考えましたが、仕事って何でしょうね。
ここでは有償無償の区分けでしたが、私は楽しいか楽しくないかだと思います。

楽しいことを適度に(ケインズは1日3時間と)やっていれば食べられる。

みんながケインズの言う「野の百合」のように生きていけたとしたら、それでもやりたいことって何でしょうね。

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この記事を書いたのは

しゅうまい(@shumai)です。 新しいこと楽しいこと不思議なこと、わくわくすることが大好きです。iPad Pro+Apple Pencilでの手書きメモがお気に入り。→ 詳しいプロフィール

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